遊☆戯☆王VRAINSのこと

こんにちは
感謝感謝の鍛治本です。

2年半レギュラーで出演していた遊☆戯☆王VRAINSが最終回を迎えました。

その感想をYouTubeにアップしたんですが、自分の記録用にブログにも綴っておきます。

YouTubeはこちら

2017年に今の事務所、アニモプロデュースにお世話になることになり、最初に受けたオーディションが遊☆戯☆王VRAINSでした。

舞台「黒子のバスケ」で共演した小野賢章くんに誘ってもらって入れることになった事務所だったけど、正直、声の仕事をやれるとは思っていなかったので、オーディションも受かるだなんてこれっぽっちも思えなかった。

テープオーディション(もうテープじゃないけどね)を通過して、スタジオでのオーディションでもボロボロで、「ああ、ダメだな、こりゃ」という感じ。

でも、奇跡的に拾ってもらって、スペクターという役を頂いた時には、嬉しさとともに不安と緊張が押し寄せてきたのを覚えています。

2007年に劇団に入って10年、なんとか続けて少しは舞台の楽しさを感じる余裕が出来てきた頃。
でも、遊戯王で始まった声の現場は、全く未知の世界でした。

全てが一から習得しなきゃいけないことだらけ。
空いているマイクにスムーズに入ること。
絵に台詞のタイミングと尺を合わせること。
声だけで距離感や感情、状況を表現すること。

やらなきゃいけないことに四苦八苦するばかりで、相手のお芝居を受けるという舞台でずっと大事にしてきたことすらままならない出だしでした。

正直、最初は毎週の収録が辛かった笑
現場で自分のパートにたくさんの時間を使ってもらい、共演者の皆さんやスタッフの皆さんに迷惑が掛かっている状況に焦るばかり。
毎日遊戯王のことを考えて重たい気持ちになっていた時期もありました。

辛いながらも嬉しかったのが、10年お芝居をやっても、まだまだ成長するチャンスをもらえたということ。

現場でお会いする声優さんたちの技術は、本当にすごかった。
声だけで勝負する声優さんに対する尊敬しかありませんでした。

マイクに入ることに慣れても、なかなか思うようなお芝居が出来ず、居残りをさせてもらう日々が続きました。
本当に長い時間、スタッフの皆さんにはお付き合い頂きました。
その時の僕は申し訳ない気持ちの方が強くなって、自分の殻に閉じこもりそうでした。

そんな時、思い出したのです。
「とにかくやるしかない!どうせなら思いっきりやって怒られよう。」
僕が舞台で悩んでいた若い頃、腹を括った時自分を叱咤した言葉です。
そこから舞台では見える景色が変わりました。

10年たって、もう一度腹を括る時が来たんだなぁと思いました。

とにかく共演者と、スペクター、そして見て下さっている視聴者の皆さんの為に出来ることをやる。自分の失敗はどうでもいい。

もちろん一朝一夕には上手くなっていかないので、相変わらず躓くことはありましたが、少しずつスタジオに行くのが楽しくなりました。

1年目の終わりに、遊戯王の食事会がありました。
スタッフさんとなかなか直接話す機会がないので、「いつもありがとうございます。ご迷惑おかけしてすみません」と言える機会を頂けて嬉しいなと思って話していると、「鍛治本くん、良くなったよね。準備してきてるのがよく分かるよ」とあるスタッフさんが言ってくれました。

それは、きっと僕を励ますお世辞だったのかもしれませんが、僕には心底嬉しい言葉でした。
こっそりちょっと泣きました。

そして視聴者のみなさんが遊戯王を楽しんで見てくれてることもとても励みになりました。

僕ら以上に、遊戯王の世界とキャラクターのことを考えて愛してくれていることが、とても伝わってきて、負けてられないじゃないかという気にさせられました。
(皆さんが描いて下さるスペクターの絵、こっそり何枚も保存してました。)

現場でお会いするスタッフさんは、10数人ですが、その前段階では、ストーリーを考え、脚本を書き上げ、作画をして、と沢山の方が遊戯王を視聴者さんに届ける為に動いています。
そして、テレビの向こう側には、沢山の、本当に沢山のみなさんが遊☆戯☆王VRAINSを楽しみにしているということを考えてからは、1人で鬱々とすることも減りました。

演劇とアニメは表現方法は違いますが、ひとりでは絶対に成立しない、ということ。
改めて大事なことに気付かせてもらった気がしています。

スペクター。
育ちや境遇が特殊だけど、僕にはスペクターが大切にしているものが、痛いほど伝わってきました。
すごくシンプル。
大切なものは、お母さん(樹だけど)とリボルバー様だけ(あ。あくまで僕個人の解釈です)。
その為に出来ることをやる。彼の行動原理はそれだけです。
だったら尚更、僕が自分の失敗を恐れて自分自身の事を考えてる場合じゃない。
スペクターは、リボルバー様の方を常に向いてます。
だから僕は、自分に向いていた矢印を、スペクターに向けて、自分の声をスペクターの為に使うことを決意しました。

本当に大切な機会と役を頂いたと思います。

皆さんのなかでVRAINSのキャラクターたちがずっと生き続けますように。
僕のなかではスペクターはずっと生き続けます。きっと。

皆さん、ありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう。
生の舞台もよかったら見に来てみて下さい。
全身全霊で楽しませます。

1 COMMENT

カナメ

動画に引き続き、こうして文章でも心中を語って下さるとは…!鍛治本さんの作品に対する思い入れやキャラクターへの愛情が伝わってきて、こんなに素敵な情熱を傾けて貰えたからこそスペクターは魅力的なキャラに成ったんだと思うと胸が熱くなりました、鍛治本さんのお人柄も垣間見える素敵なブログ記事ありがとうございます!
VRAINS最終回についての動画を拝見してから他の動画やブログ記事を追っているところだったので、これからも舞台や声の出演等を応援しながら鍛治本さんの活躍を楽しませて頂きます!

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