オーディションの思い出 その2

こんばんは
鍛治本です。

前回の続き。

舞台にも劇団にも興味がなかった鍛治本が、ひょんなことからキャラメルボックスの劇団員オーディションを受けた。

書類審査は無事に通過して2次オーディション。
東京都内の会場には、50人ぐらいの人が集まっていた。
時間差で次々と審査が行われていたから、全部で100人ぐらいの人が受けていたよう。

控室には、20人ぐらいの人が同じ時間に待機していた。
みんな気合いが入っている。ストレッチや発声練習をして待機。僕はどちらもやり方を知らないのでモジモジ待つばかり。
審査員の劇団員が入ってくると、みんな顔色やテンションがたちまちに変わっていた。
僕は劇団のことをよく知らずに受けたもんだから、どの人が劇団員なのかも、分からずじまい。

受験生の側にはタオルに、大きな飲み物。
僕は飲み物すら持っていっていなかった。

実際に審査が始まって、これがとんでもないミスだと気付く。

ひたすらに続くエアロビクス。その後の筋トレ。
お手本の劇団員についていくだけでも必死なのに、水分さえない。

軽い脱水症状のようになりながら、前半戦が終了した。
いや、多分正確には脱水症状にはなっていない。
ただ単に体力のなさで辛過ぎて、そう感じただけのことだろう。

とにかく、自己PRとセリフをやる前、僕のHPはゼロになっていた。

後日結果を確認するまでもなく、ここで落選することははっきりしていた。

その当時、姉が都内に住んでいて、オーデション会場の近くまで車で迎えに来てくれた。
何も言わず、ただうなだれている弟の様子を見て、ただただ静かに車を走らせてくれた。

助手席に座り都内の通り過ぎる景色を見ながらちょっとだけ泣いた。

でも、後日考えた。

それまでは、事務所や映像系のオーデションばかり受け、カメラの前で簡単な自己紹介とちょっとしたセリフだけ。
キャラメルボックスの劇団員オーデションは、それまでと全く違った。

そうか、舞台というのは、それだけ体力や体の管理能力が必要なんだ。

思えば、今まで、役者になりたいと思うばかりで、何の勉強も訓練もしてこなかった。
俳優にだって基礎力が必要なんだ。

その後、僕は俳優に必要なことを身につけるべくキャラメルボックスの俳優教室の門を叩いた(それもオーディションがあったけど、一応受かったよ)

そしていつの間にか、舞台一色の生活になり、今に至る。

最初に受けたオーディションはコテンパンだったけど、あれがなかったら、僕は舞台そのものに興味を持つこともなかった。
人のきっかけや縁というのは、どこでどういうふうに出くわし、どう転がっていくか分からない。

明日は、キャラメルボックス劇団員オーディション最終審査。
僕は、舞台の稽古があるので参加できないけど、皆さんの健闘を心から祈っている。

そして結果がどうであろうと、皆さんのこれからの何かのきっかけになりますように。

劇場で、どんな形でもお会いできるのを楽しみにしています。

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